往年の愛車、RoyalNorton randonneur(ロイヤルノートンランドナー)。
80年代半ば十代の頃購入、二台(代)目ランドナーにして本格的キャンピング車。
超大枚を山岳アルバイト(ボッカ)などで調達しスポーツ自転車店(今はない)で購入。
購入時、店主大将のおっちゃんに当時17歳の私は、緻密なランドナー組み立て計画書をレポート用紙数枚にまとめ見せた。
【概要】・・・前略・・・峠を攻めるため、ローは1:1のギア比にし、またダート林道を考慮し650×42Bのタイヤを履かし・・・中略・・・前キャンピングキャリア装着・・・・輪行仕様で・・・
など書いたと思う。
おっちゃんは、17歳の小僧の計画書を読んで頷き、ボールペンを手に取って仕事帳にメモを書き始めた。
そして私が店まで乗ってきた初代ランドナーのサイズを測ったりし、自分がこれから乗るであろうニューマシンの構想を描いてくれた。
その時のおっちゃんは輝いていた。格好良かった。
「んじゃ、完成まで1カ月まってね。電話すっから」
話が一通り終わった。
店での打合せは小一時間くらいだっただろうか、私は興奮しながら店を後にした。
ちょうど1カ月がたち、自転車完成の連絡をもらい、マシンを受領しに店に行った。
店には完成したマシンがあった。
完成車RoyalNorton randonneurは、ほぼ希望通りだった。
もっとも、車体色はこちらの指定お構いなくおっちゃん好み、もしくは仕入れの関係で選ばれ、ヘッドパーツが輪行仕様ではなかったり、ディレイラーがサンツアーVX GT(RD-2400)だったり(希望はシマノ600※)、サドルが革ではないプラの汎用品だったりしたが、おっちゃん曰く
「予算通りだとこうなっちゃうんだよ」
まあしょうがない。
※ただしカタログを読む限り、小売価格ベースでは85年当時、Vxよりシマノ600(EX・RD-6200 or 6210)の方が安かったりするのだが・・
その代わり、フロントバッグとサイドバッグをつけてくれたり(推定店の売れ残り)、後輪ダイナモから伸びる電装線がフレーム内蔵だったりと良かった部分もある。
その電装線をどうやってフレームに通したのかおっちゃんに聞いてみたが教えてくれなかった。
きっと企業秘密なのだろう。
いずれにせよお金を払ってマシンに乗り自走して家に帰った。
以後10数年。
社会人になっても乗りまくった。キャンプしまくった。峠を攻めまくった。輪行しまくった。
ほぼ同一時系列上にあったバブル時代は、ランドナーのような古く黴臭い自転車は捨て置かれ、専門誌でも扱われる頁もなくなり流行のMTB全盛となったが私は乗り続けた。
(1990年8月 岩手にて)
:ノートン君は落車ではなく “昼寝” をしているのです。
しかし、気が付いてみれば私もMTBやロードバイクに乗っていた。
そしてRoyalNorton randonneurは最後の輪行から帰還の後、組み立てることもなく実家の片隅に眠らせた状態で20年が経過してしまった。
ちなみにおっちゃんの店もバブル末期の都市開発ですでに跡形もない。
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これが現在のRoyalNorton randonneur。(実際にはアラヤマディフォックスの残骸もあり二台分)↓
「・・・・」
憐れだ。
死んだ父に何度も捨てられかけたが、その都度
「わりーここに置いといて」
と実家に住んでいない私が、超身勝手な事を言って捨てられることはなかった。
しかしこの実家を諸事情から手放さなければならない日が近づいてきた。
「よしこの機会、RoyalNorton randonneurをレストアしよっ」
決意した。
と言うことで、ランドナー復活計画開始です。
完成するかどうか、はたまた頓挫するかは未定・・・やるだけやってみよっ。
ただ、まだ妻には言っていない。こんなゴミを我が家に・・・・
(つづく) かな?・?
【ノートン号、本記事執筆時点の姿】 ほぼ粗大ゴミ・・