ボントレガーから1300ルーメンの新型ライトが発売されたので、フラッシュライトオタクwを自称するわたしは先日それを購入した。
価格は税抜き15,648円と自転車用ライトとしては高い部類ではあるが、キャットアイの800ルーメンVolt800が16,000円(税抜き、以下同)、同1700ルーメンVolt1700が26,000円。また後述する同コンセプトの800ルーメンGARMIN Varia UT800の19,800円からしても販売価格は妥当だろう。
また、高照度自転車用ライトのノーブランド品がamazonなどで数千円で買えるが、製品精度が悪いので故障率が高く(さもすれば事故る=モバイルバッテリーの発火・発煙事例と同じ)、やはり信頼のブランド品を使うべき。
さて、このIon Pro RT、その最大出力時の1300ルーメンは、街中走行ではオーバースペックだが、街灯のほとんどない闇夜の山道を走る時に灯す照度としては自分的にはちょうど良い。ただ、1300ルーメンモードでは1.5時間が稼働時間なので “真の闇” を一晩走るナイトライドやブルベには向いていない。これらの用途にはやはりバッテリー交換できるキャットアイのVolt1700の方が良いだろう。
ちなみにIon Pro RTの出力モードは、
●内蔵バッテリー容量:4800mAh
1300LM-1.5 時間、800LM-3 時間、400LM-6 時間、ナイトフラッシュ-26時間、デイフラッシュ-22 時間
(カタログより)
なので、ミドル800ルーメンでも3時間持ち、Volt800(容量:3400mAh)の最大出力時2時間より長い。ただしIon Pro RTの重量は183gあるのでVolt800の140gより43g重い。
このIon Pro RTは、前機種Ion 800 RT同様、ANT+通信(Bluetoothでも可能らしいが詳細不明)によるリモート操作が可能で、GARMINのサイコンと同期できる。自分がこの製品に引かれたのもこの部分。これを「スマートライト」というらしい。
これはGARMIN純正ライト「Varia UT800」とほぼ同じ(だと思う)仕様の同期システムで、ライトネットワークに対応したEdgeサイコンであれば機種による機能差違(と言うかファームウェアの)は多少あるが利用できる。
同期方法は至って簡単で、Edge 820Jの場合であればセンサー追加をすることで特に何もせずIon Pro RTと同期できた。後はセンサー詳細かトレーニングページに追加することで「ライトネットワーク」項目が出てくるのでそこで設定する。
恐らくは「Varia UT800」と同様のことができる。自分はとりあえず、速度や昼夜などの状況に応じて照度と発光パターンをオートでやってくれる「自動」モードを選択した。これはまだ試していないが、昼間 “点滅” 時にトンネルに入ると “点灯” に変わるなどを期待。ただし、Ion Pro RTでは自動調光はできない模様(PROの弟分、Ion 200 RTでは可能)。
そして、ライト起動をタイマースタートとし、スタートストップボタンを押すことでライトのオンオフが連動できるように設定した。これであればライトが灯されていれば計測中であることの目安にもなり、ボタン押し忘れはしなさそうだ。
これらはGARMINサイコンの基本機能ではあるが、ボントレガーからライトをコントロールできるIQアプリが出ており、同アプリをインストールできる機種であれば利用できる。わたしもこれを当初インストールしたが、結論から言うとすぐに削除した。
理由は、アプリ自体が低機能で特に優位性を感じないのと、入れたことでライトが本体ボタンで操作を受け付けないなど不安定になったからだ。この辺りはアプリレビューでも色々と書かれている。Edge 820Jとの相性なのかアプリのバグなのかは不明。なお、「自動」ではなく「手動」モード時、このアプリを使いでサイコン画面上からそこそこの速度で走行時にローからハイなどの操作をすることは、パネルが小さくEdge 820Jの場合、神業的で不可能に近い。
ライトの固定は、専用ハンドルホルダーが付属しているが、少々野暮ったくなる。
トレック(ボントレガー)のステムであればブレンダーシステムを使ってスマートにまとめられるが、自分の場合、前製品のIon 800(リモート無し版)を使っていたとき同様、RECマウントを基本とし、下部マウントにブレンダーのアダブターを取り付けIon PROをぶら下げている。
このアダプターは、ライトホルダーとブレンダーマウント(GoPro互換)が一体化したパーツで、RECマウントの下部アダプターに接続できる。
大きめなIon PROは、はやり気になるのがルックス。確かにライト本体はデカいものの、全面ブラックカラーの視覚効果で小ぶりに見える。バイクが黒系ならさらに溶け込み自己主張は抑えられる。
ふだんから(昼間に)ライトをバイクに取り付けない人からすれば違和感はあるかも知れないが、自分は昼間ライト使用派(レース以外、練習、通勤問わず)なのでぜんぜん気にならない。
Ion 800と比較すると以下のような感じとなる。
↑? Ion 800
↑ Ion PRO RT
総括として、ライトそのものは外観デザインを含め、“ハードウェア” としては機能的にもIon PRO RTは申し分がない。値段もこれらをかんがみれば決して高いとは思わない。
もちろんもっと強力なライトを欲するのなら迷わずVolt1700クラスを買うのがベターだし、ここまでの性能・機能が不必要であればVolt400以下のライトでも良いだろう(ただ、キャットアイのマウントは壊れやすいのが嫌い(汗))。
ただ、欠点は “ソフトウェア” であろう。
これは純正のVaria UT800にも言えるのだが、せっかくのスマートライト、GARMINのライトネットワークが発展途上な分野であるからか、まだまだ不完全かつ不安定で使い勝手はこなれていないしシステムバグも多い。それゆえ、UT800ですら「手動で使っています」というユーザーも少なくないらしい。この辺りはGARMINの技術に期待したい。(あれ?GARMINのレビューになってしまったゾ(>_<))
蛇足だが、ボントレガー、すなわちトレックのことだが、同社とGARMINが蜜月な関係であることは有名な話で、現にGARMINサイコンのフラッグシップ機Edge 1030も実は米国ボントレガーでは同社ブランドロゴを付けOEM版(Bontrager Garmin Edge 1030 GPS Cycling Computer)が599.99ドルで売られている(と言うか自転車業界はOEM、他社間協力が意外と多い)。
と、連々長々記事を殴り書きしてきて肝心のライトテストを書ききれなかった…(反省)
この辺りはまたの機会で。(^_^;)
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【追記・後日談】2020/4/16
あれから1年半後、840時間灯してIon PROは壊れた。(涙)
マウント部分(強化プラ)が割れてしまった。本体が重いから、振動その他で負荷がかかり破断したと思われる。きょうたい一体型マウントは交換不能にて自転車用ライトとして死亡認定。余生は懐中電灯。
下部懸架は注意されたし。