サドル、Specialized Power Expertレビュー

(18/2/8文章写真一部訂正)

スペシャライズドパワーサドル、いっけんロードレース用とは思えない、かといってTT用ともちょっと違う変わったスタイル…
昨年だったか、このヘンテコ形状な製品を知った時は「欲しい」という感情は出なかったが、何故か気になるヤツとし脳裏に記憶された。


Power Expertこのなんとも “ヘンテコ” で独特な形状!?

そんなドツボにハマったパワーサドル、ようやく試す機会がやってきた。
Focus CAYOに装着してたPROLOGO NAGO EVO PAS TiroX(長いな……)からSpecialized Power Expertにサドルを変更した。

ことの発端は慢性的な「内股擦れ」と「(内股に発症する)毛嚢炎」。ベストなポジショニングにセットすればするほど内股が擦れ、さらにそこに溜まる汗から雑菌が身体にしみ込み(推測だが)毛嚢炎が出てきてしまう。結果、ライドパフォーマンスは落ちる。


(上)PROLOGOのナゴEVOパスTiroX (下) Specialized Power Expert
メーカーによると通常サドルよりノーズが3cm短い

また自分は、身長比からすると “短腕長脚” なアンバランス体型で、バイクポジションの悩みは、”リーチ”。
トップチューブ長、ステム、ハンドルリーチそしてサドルセットバック(後退幅)にてベストポジションを求めなくてはならず、詳細は省くが、フィッターにより導き出される理想のサドル座面~ハンドル芯の落差(自分は現時点80mm)加味した直線距離は641mmとなる。

この641mmを確保するには、トップチューブ長、ステム長(とハンドリーチ)、サドル後退値をいじりベストポジションを作らねばならず、セッティングをいい加減にしてしまうと、身体が悲鳴を上げるから作業は結構な労力を要する。サドルは、自転車に跨がる人の重心(股間)との接続点だからシビアになるのは当然ではある。

自分のロードにおけるサドル位置は、操舵癖とリーチの関係から、フレームの差違はあるが、たいてい前気味となり、調整過程でセットバック幅は必然的に減るので、どうしても長めのサドルノーズが邪魔になってしまう。
これまで装着していたプロロゴナゴは、完車付属サドルではないが、デザインは気に入っていたし “座り” も悪くない。むしろ優れたサドルだとは思う。ただ一点、ノーズが一般的長さである事を除けば。そして走行1万2千キロを超え、「元は取ったな」感もあり、サドル交換に至った。
※ステム長は、何度も試した結果、90mmは欲しい。それ以下だと操作がピーキーすぎてNG。

 

「ノーズの短いサドルを!」という事で行き着いた先がスペシャライズドのPowerシリーズサドルだった。
マシンがSpecializedでもましてやS-Worksではないが、良い物は良いので自分は気にしない。


ポジション出し後のマシン(※写真は交換1年後)

購入先はS系本家ディーラーで、店内のサドルサイザーを用いて坐骨幅を計測し、最適なサドル幅を導き出してもらった。
Powerシリーズは2種類あり、それらの細かい説明を店員さんにしてもらい、サドル幅143mm(サイズはほかに155mmと168mm)で値段が安いExpertの黒を購入。
なお、値段の高いS-Works Power方がExpertより座面がかなり硬かった。ちなみにPowerシリーズは男女兼用設計。

マシンへの装着は自分で行った。

重量は143mmタイプで233グラム。

上記写真、右がExpert。かなりのチビッコ。
作業したのが仕事場だったので、細かいセッティングは工具が少なく無理。ほぼ仮設状態で自宅まで20キロ試走した。
ある程度予想はしていたが、ポジション出ししていないマシンでのライドはかなり辛かった。


仮装着での帰宅ライド直後。「あ~、しんど」

高さと後退幅は完全にアウト。座位置にシッティングできていないし、腕と脚が伸びきりパワーが全くでない。
身体への負荷がかかり、平均速度は夜間の都市部とはいえ20km/hすら出ない。これではPower Expertサドル、完全に名前負け。
サドルポジションのあっていないロードバイクに乗るとこうなるという典型的悪い事例である。

帰宅後、改めてセッティングを行った。
ポジション出しは、データ化してありまとめてあるので、それを元にマシンに落とし込んでいく。


右がボントレガーのシートポスト、オフセット20mm

しかしFocus純正のCONCEPT EXシートポストはオフセットが実測35mmあり、理想とする位置へのセットバックできず、手元にあったオフセット20mmのボントレガーのシートポストに変更しサドルを装着した。

CONCEPT EXが推定アルミ製なのに対し、ボントレガーのはカーボン製(チューブ部分のみ)で重量も150グラムほど減り、ワンボルトのヤグラなのでセットも楽になったのは嬉しい誤算。
こちらもFocus以外のTrek用純正サプライとなってしまった(苦笑)。そのうちオフセットゼロのものを改めて買おう。

Power Expertは、クッション面の厚みがややあるので、ナゴEVOよりピラー位置を3mm低くした。

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※やはりその後、オフセット0のサドルに変更した。

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仕切り直しにて、ポジションデータをマシンへ落とし込みを終えた翌朝、改めてPower Expertの乗り(座り)味を確かめてみた。

結果は「なんじゃこりゃ」なサドルだった。
鼻先低いから、まるで “サドル先端がない” ような錯覚すら感じた。——

 

本稿執筆時点で走行距離は99.14キロ。imaken的インプレッション。

サドル交換最大の目的であった内股擦れだが、サドル先端への跨がり感がないため摩擦は少なく激減し、できている毛嚢炎(これがあたると痛い!)と座面接触はなくなった。横幅もプロロゴと比べ9mmも広いから座り心地は良い。尻・股関節などの痛みと疲労感は皆無だった。

また、ダンシングとシッティングのポジション替え時に起きやすい “レーパン引っ掛かり” はノーズが短いことで全く生じなかった。
この “引っ掛かり” がないというのは重要で、スムーズな着立間は動作短縮(今まではレーパンを引っかけないようややオーバー気味で身体を動かしていた)できるしストレスも感じなくなる。

そして何より、ノーズが短いことで、前方障壁がなくなり深い前傾姿勢で脚の動きに自由度が増し効率の良いペダリングができるようになった。元々フィッティング済みでポジション出しのできてる状態でのサドルからPower Expertに変えても、速度や登坂力が大幅に向上することはないだろうが、パワーロスが少なくペダリング効率は良くなったと実感できたので、結果として効果は上がった。

パッドのクッション性は、上位S-Works PowerよりPower Expertの方が高く好みが分かれるところ。よって、硬いサドルを好む競技を前提にしたレーサーにはExpertだとパワーロスを起こすかも知れない。ちなみに自分は元々(若い頃)サドルのクッションなど不要論者だったが、50歳目前にして「尻力」が低下し “サドルは、やや柔らかいパッド入りが好き” に変化した。


表面素材は抵抗力がほどよくあり、”レーパン滑り” はなかった

スペシャライズドサドルの特徴でもある「穴あき」は もちろんPower Expertでも採用されており、会陰部が保護され直ぐに実感できた。これはスペシャライズドで特許を持ってるBody Geometry設計と言われる技術により、“ラボのテストで、男女を問わず敏感な部分の動脈血流を確保することが実証済み。”(同社カタログより引用)とのこと。

しかしこのPowerサドル、前衛的デザインゆえのデメリットもある。以下がその全てではないが、自分が感じた点。

●極端な前乗りポジションは取れないので、TT専用サドルの代わりにはなり得ない。
●サドル上で(尻の)前後移動の多いライダーは要注意。ノーズが短いため前落ちの可能性もある(ただし座面での移動域は広い)。
●ポジション出しが他のサドルに比べシビア。

など。


Power Expertの方がメーカーロゴは目立たない(他社ロードへの配慮!!??)

股擦れ悩みなどでショートノーズサドルをお探しの方は、このSpecialized Powerサドルを選択肢の一つに加えても良いのでは?
もちろんスペシャライズド以外のマシンに着けても違和感はありませんので!

さいごに、スペシャライズド製品は正規販売店のみでしか入手できないので、購入する際には要注意。
ネット販売も公式オンラインショップのみ(その他の通販サイトにある商品は、例え本物でも正規ルート品ではない)。

 

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【後日談】
なお上記交換から1年以上経過してもなお自分は本サドルを使い続けている。
よほど “ケツ” にあっているのだろう。フレームそのものもFocus CAYOが走行距離3万キロを超えた時点でCanyon ULTIMATEに交換。

もちろんSpecialized Powerは、シートポストごと、そっくりそのまま移植した。

また昨今、シマノPRO Stealth(ステルス)やprologo DIMENSION(ディメンション)など類似する製品が世に出てきたことは自分としては非常に嬉しい。

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【関連項目】
シマノPRO Stealth導入

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