蔵出しCampagnolo Shamal milleは普段履きに適するのか?

自分的決戦(もとい!そこまでいかない)機材として手元にあるCampagnolo Shamal mille。
本ホイールを用い『普段履きに適するのか?』と題した私的メモ感覚レビュー記事をお届けいたします。

シャマル・ミレは、材料工学の専門家でも何でもない、いちサイクリストの自分がここで書くまでもないが、高耐久性と性能向上を図るべく “プラズマ電解酸化処理”(『2016年カンパニョーロ総合カタログ(15年11月版)』には、プラズマの前に「独自のセラミック・」というキーワードが付加されている)を金属リム面に施したアルミホイール(以下PEOリムと略す)で、先駆者であるマヴィックの “エグザリット加工” ホイールを皮切りに、2016年夏現在いくつかのメーカーから同工法類似製品が販売されていて、近年ホイール機材のトレンドの一つとなっている。


ブレーキ面に刻まれた溝。特に雨中下走行では威力を発揮

そしてシャマル・ミレは、ブレーキ面をらせん状にマシニングした溝が制動距離を同ウルトラより大幅に短縮した(先述カンパカタログより)。
これが販売店を含めた売り手側宣伝文句として「ウェットコンディションに強い車輪」とされ、自分も数度の雨天走行を経て、同感であると再認識した(後述)。

フルカーボンホイールを必要とするまでのケースは自分の趣味的かつ日常生活中にはないから、エンデューロからヒルクライムなど幅広いホビーシーンでの使用を想定してのシャマル・ミレはマストアイテムだった。

しかし、ただ蔵の中しまい込んでおくんじゃ逆に費用対効果は薄く、ここは思い切って「日常走行でも使ってみっか!」的ノリで履かすことにした。気軽に使えるアルミホイールならではなかろうか。

製品レビューは、姉妹品のレーゼロナイトと双璧をなすくらい巷にあぶれ、サイスポなど自転車誌面上でもたびたび取り上げられているから、本記事では自分の通常使用、即ち “普段履き” として転がす上で感じたことを書き記した。

通常使用。
完全に自分基準での話となる事を最初にお断りしておくが、定義・条件と本記事中の使用機材は以下の通り。

●走行頻度と距離:ほぼ毎日40キロ以上、週アベレージ200~300キロ
(100キロ一気超えライドはここでは対照としない)
●気象条件:強風下、雨天でも走る
●走行エリア:市街地・都市部とそれらに隣接する丘陵地域。交通量と信号が多い幹線道路
●用途:朝と夜のスポーツライド兼自宅仕事場間往復。日中の都心往来(頻度は少ない)
●タイヤ:Continental Grand Prix 4000S2 23C(F:7ber、R:7.5ber)
●フレーム:Focus CAYO Carbon

【硬いホイール】

アルミホイールの中では、かなり硬い方ではなかろうか。
(カンパ自身の言うところでは、リムのみならずリアのG3スポーク・システムとUSBハブも「横方向に対する高剛性」であるとしている)
ただ、履かせるCAYOフレームは柔らかいので、この組み合わせの場合印象的にはカチカチとは感じない。
登坂時におけるダンシングでは硬いホイールが活かされ、出力が小気味よく感ずるが、これは回転抵抗の少ないUSBハブの威力も大きい。

柔フレーム+硬ホイール。
組み合わせ的にレース、特にコーナリング後に加速させ高速域へ持ち込むクリテリウムなどの場合、フレームの柔らかさがかえって仇となり、入力通り反応せず速度ロスとなることは確実だが、都市部における信号待ちからゼロスタートするとき、シャマル・ミレ(+CAYO)はマイルドにさえ感じる。

しかしながら路面状態が悪い道に突入したとき、前後約7ber空気圧で設定したGP4000S2 23Cタイヤだと身体(体重59kg)に自転車がバシバシと突き当たった。悪路メインで走る場合、吸収材として空気圧を少々下げ25Cクラスの太めタイヤと組み合わせれば相殺されるだろう。
また地味に重要なことなのだが、自分(神経痛持ち)の場合、50キロ程度の走行距離では身体的負担は、疲労感も含め皆無だった。

結論:△硬さは通常使用では気にならないレベル

 

【消耗品としてのシュー】

PEO処理が施されたリムのブレーキシステムは、通常の金属リムのそれと真逆で、リムに接触したシューが削られることで摩擦が生じ制動する。
このシュー(ブレーキパッド)はカンパから出ているPEOリム専用品(通称「青パッド」―BR-PEO500シリーズ)を安全上絶対に使わねばならず、これが安くない。

同工法別メーカー品やカーボンリム用(赤パッド)のパッドが使用可能と安全を考慮せず無責任な情報が内外のネットに散在してはいるが、やはりNG(これはショップのメカニックにも直に聞いたが「使わない方が良い」)。ただし青パッドはフルクラム(カンパ系企業)のゼロナイトでも使える(参照:国内代理店カワシマサイクルサプライのWEB)。


10キロ走行時点でのカス(フロント)

シューは消しゴムの如くどんどんと減っていくので、走行前チェックと走行後のカスの除去。予備シューは買い置きしておいた方がいい。

結論:×日常使用でのシューの斬減は頂けない。ランコスも悪い

 

【全体的な走行感覚】

「巡航速度が数キロ上がりました!」や「ギア1枚ぶん軽くなった感じです」など “文学的レビュー” が巷では溢れているが、そもそも原動機が人体である自転車において、巡航速度という表現の定義は曖昧で意味を成していないし、ギア云々も単なる客観的感覚ではなかろうか。
しかし「走行感覚」となるとデータからは計り知れず、必然的にライダー(レビュワー)個々におけるユニークなインスピレーションとなってしまう。以下の私の受けた感覚も上記の ”文学的レビュー” となんら違いはないのでご了承頂きたい。


視界の悪い雨天走行時

——感覚を述べる前に、恥ずかしながら貧脚わたくしの基準的走行データをまずは提示しておきます。

自分は自転車を走らすとき、ギア比2.7を基準としていて、これはママチャリ以外どんな機材でも大差はない。
この基準ギア比だと、アウター52tの場合、リアは19tとなりケイデンス平均が90/rpm。メーター読みで速度31km/h前後となる。
ただし信号停止や交通状況での加減速を入れると平均速度は21km/h程度でいわゆるこれが市街地走行。(下記表「黄線」

■サイコン GARMIN Edge 510Jで計測したデータ

そして市街地を抜け、信号区間の少ない郊外幹線道を走る時は、一気にペースが上がり、上記表「赤線」のようにケイデンスも上がる。
このような前提条件で走らせた感覚として、ひとことで言い表すと、

高速での伸びが良い。

単純明快だが、この言葉しか浮かばないくらい、ひじょうに好印象。陳腐な表現だが、直線でスポーツカーを噴かしている感覚といったところか。 本当にアルミホイールなのか?とも思えてしまうほど抜群の安定性がある。


尾根幹での高速テスト走行は “かなり” 良好だった

特に路肩がしっかりと確保され道幅が広い幹線道では威力を発揮する。あまり書きたくはないが具体的にはR20の明大前近辺−環8間とか第二京浜の一区間、尾根幹の東行きなどがそれに当てはまる。
安定走行性能が高いから、いったん下ハンポジションで高速域に入ると、ラインが許されるまで延々下ハンで飛ばし続けられる。これは嬉しい誤算だった。

この高速安定性こそが、空力特性を効果的に引き立たせるスポーキングシステム(リアG3システム、エアロダイナミックスポークなど)とUSBハブテクノロジーの結果なのであろう。ある意味、異次元の化け物金属ホイールとも感じ取れた(良い過ぎかな!?)。

クライミング性能としては、前後の合計重量は1426gと決して軽いホイールではないから、同等グレード・素材から鑑みて思い浮かぶスタンダード(メジャー?)ホイール、Shimano WH-9000 C24 CL(前後計1387g)の方が剛性に若干の不安はあるものの登坂性能は高い。
下位、ZONDAやRacing 3と比べた場合でも、硬いホイールが手伝ってダイレクトに反応(出力)するから「それなりに楽」なレベルにはなるが、圧倒的優位とまでは自分は感じていない。

 

【雨天、ウェットでの運用】

自分としていちばん評価するライドシーン。
同等工法を含めた製品の雑誌やWEB情報サイトのレビューを読むと、『雨天でのブレーキングでの不安はまったくない』、『ウェットでもブレーキが効く』、『(PEOリムホイールなら)ロードバイク用ディスクブレーキ不要論』など書かれている。果たして本当だろうか?

「嘘だろ~」なんて思っていたのだが嘘じゃなかった。(^_^;)
雨中ライドでも制動力が晴天時とほとんど変わらない。冗談ではなくよく効く。

ただし危険な側面もあるので、多少本記事と方向性を異にするが記しておきたい。
それはひとことで言うなら “過信” 。

自転車で制動力が大きく停車距離が短いということの要素を考えて見ると、ブレーキ性能(パッドがリムにあたり車輪回転が停止する)だけでは得られない。

なぜなら路面と接しているのはタイヤであり、それらの抵抗力次第で車輪回転が止まっても自転車が停車するわけではない。そして制動入力はライダーの指だから人力も関係してくる。
この場合の “過信” とは、ディスクブレーキ自転車にも通ずる事だが、「この機材を使えば雨でも自転車は良く停まる」という思い込みのこと。

濡れた路面でのブレーキングは、どんなに高性能なブレーキシステムを使っても、グリップ力が小さいもしくは古タイヤが装着されていれば意味を成さず、車輪が停止してもロックするだけで自転車は路面を滑空する。その時、運悪く濡れたマンホールやグレーチングの上に乗り上げ、バランスを崩して真横にクルマでもいたら……。だから安心しきってドライコンディションと同じ走りをするのは禁物。また雨で冷えた身体だと、指先感覚が鈍って握り力は衰え、濡れたレバーも滑りやすい。

これらの点を十二分に踏まえ、慎重に雨の日は走るべきだと思う。他にも視界の悪さや、何故か雨の日に限って飛ばすクルマ、周りが見えていない傘差し自転車にも気を付けないとならない。

上記写真は雨天走行中の前後ブレーキ周りの状態。
いっけん汚れが目立つが、ほぼ泥汚れ。純粋なアルミリムだとシューカスは金属粉が混ざることで真っ黒に汚れるが、 PEOリム用の場合、カス汚れは少ない。

以下の写真は雨天1時間走行後、濡れた自転車から水をぬぐっただけなのだがリム面はひじょうに綺麗。

シューの削れ方も、晴天時の減り方と大差ない。

結論:◎雨の日最強

 

【結論と本体価格について】

結果論から言うと、シャマル・ミレは普段履いホイールとしては、万人向けではない。
やはりスポーツライドをしないとミレを履かすには勿体ない(と書くと本記事の趣旨とは方向性が異なるが…)。

いくら雨に強いからといって、晴れの日しか走らない人はその恩恵が得られることはないし、シューの減りを気にかけ(しかも値段の高い!)、カスを掃除したり、それ故にクリアランス調整の頻度が上がるからメンテのスキルも必要だ。
また、一回の移動距離が10キロ程度と極短い通勤通学のみでの使用やポタリングでは恩恵はなく(自分はポタはD6ちゃん)、逆に扱うのが面倒なはず。

そして、やはりいちばんのネックはホイールの価格ではなかろうか。一般消費者としては敷居が高いと言わざるを得ない。
実際のところ、税込希望小売価格194,400円(カンパカタログより)と中堅ロードバイク一式が買えてしまう値段がついた国内購入の場合、普段履きホイール、さらにレース用に特化したカーボンホイールと比較しても正直言って費用対効果はかなり薄く、Shimano RS81 C24やCampagnolo ZONDAの方が圧倒的に優秀だ。
しかしながら 、国内で買うより半額程度かそれ以下で購入可能な海外通販を利用すると価格的評価は180度変わる。

自分のホイール調達先は、ほとんどが海外通販利用(参考:ZONDAのWiggleでの購入レポ)で、シャマル・ミレも該当。
積極的に海外通販をお勧めするような立場ではないので「買い」かどうかの判断はご自身の判断で決めて欲しいが、言えることは、(信頼のおける業者を選べば)海外通販だからといって敷居は決して高くない。
ホイールサポート(テンションメンテやバランスチューンなど)だって日本のプロショップに持ち込めば、断られることはない。彼らだって商売になるからだ。とくにホイールバランスチューンは定期的に受けることを勧められるから喜ばれる(経験上)。

さいごに、実はまだシャマル・ミレを履いての(間あけない一気での)100キロ超えライドは現時点行ったことはなく(70キロ止まり)、ここでの評価は自分はできないが、だいたいの身体的疲労感やホイール特性は予想はつく。
硬さから言って、私のように柔フレームを用いても200キロ(一気移動)ロングコースを走らすにはキツイかも知れないが、120キロ程度であれば何ら支障はなさそうに思える。

まぁ約50歳の自分が200キロ超えロングに行くことなどほぼなさそうだけど…ww

 

◆おまけ:今日の補給食

ベトナムコーヒー(頂き物)。
レビュー:ほんのり甘く酸味は少ないが、なかなか濃厚。しかしながらミルクによりエグさはない。 www

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