Hirame降下作戦… 続々・コラム周り

コラム周りの話の続きでも。

【ヒラメ。好きなんです】

8月さいごの週末、南関東は雨。またまたチャリメンテ日和。
先週、仕事で品川方面に行った足で寄り道した蒲田某所にてKuwaharaのHirameマルチプレッシャーアンカー(30JA-30U)を入手(下掲写真)。

ポンプヘッドで有名なヒラメの製品は美しい。


部品構成は、
(上)左から「M6キャップボルト」「セッティングナット」「固定ボルト」
(下)左から「テーパナット」「分割テーパリング&スプリングベルト」「テーパ押子」

固定ボルトを締めることで分割テーパリングが膨張しスプリング力で保持、コラム内壁にアンカーが張り付く仕組み。

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※以下、イマケン私的メモ形式(真似しても良いですけど取説は熟読してくださいね!)

【まずは計量】

キャップとトップキャップボルトを除いたアンカー(プラグ)部分のみでの重量差は19グラム。

【取り付け】

基本的に「取扱い説明書」通りに行えば問題なくセットでき、作業時間も10分未満程度。
使用工具は5mmと6mmのアーレンキーのみで可能。ただしとうぜんながらステム固定ボルト(コラムクランプ)に合ったサイズの工具(自分は4mmアーレンキー)や、よりシビアな固定力が要求されるカーボンコラムの場合トルクレンチは必須

(1)M6ボルト&セッティングナット

パッケージ状態での製品に予め差し込んであるM6ボルト(トップキャップボルト)と「凸」状のセッティングナットを外しそれらをマシンに使うキャップにはめ込む。

セッティングナットは実際には “アンカー装着時に使う圧入工具” の部品 なのでアンカーの一部ではない。
幅の狭い方をキャップ側にし、手で ナットを着ける(上掲写真)。
なおM6ボルトはなるべく製品付属のものを使うようにと取説には書かれている。

(2)アンカーをコラムに填める。Hirame降下セヨ!

アンカー本体の固定ボルトを6mmアーレンキー(取説には5mm??と書いてあるが…)を用いて締めていきコラム内径まで広げる。
コツとしては逆に内径よりアンカー横幅を太くし、コラム上部に乗せ固定ボルトを緩め内径に合わせる。

固定力は軽く。
アンカーを手で押せるくらいで本締めではない。

“引きしろ”(自分的3mmほど)を作り、ステムの仮装着と必要スペーサーは予めセットしておく。

そして(1)で作った “圧入工具” をアンカーの固定ボルトにねじ込み(アーレンキーで軽く末端まで)、キャップ上部を指でパコっと押しアンカーを圧入。
なお、使い捨てのスターナットではないので、失敗(コラム落ち)したときでもラジペンなどで 引き上げ作業し直せる。

(3)アンカー仮締め

この状態でM6ボルトにてキャップ越しに仮締めを行う(トルクレンチ締めが望ましい)。この時キャップは押さえない

仮締めは「軽く」。
取説に書いてある数値では金属キャップの場合30〜50kgf/cm(1.0kg/cm=9.80N・m 参考サイト【小野測器さん】)なのでN・m換算だと約2.9〜4.9N・m。
締めすぎは「ロック」するので要注意。


アンカーが圧入された状態

そしてキャップを指で押さえ5mmアーレンキーを用いてM6ボルトを緩め、セッティングナット付きのキャップ(トップパーツ)を抜く。

外したトップパーツからセッティングナットは取り除く。なくさないようにせんとな。

(4)アンカー本締め/加圧調整

まずは固定ボルトを6mmトルクレンチで締める。
推奨トルクは130〜150kgf/cm(12.7〜14.7N・m)なので結構固締め。締め具合のトルクはバイクやフォークのメーカー・型番毎に異なるハズなので「あんばいを考慮」しつつ慎重に行う(ただしゆるめ締め厳禁)。

アンカーのコラム内部固定が完了したらトップパーツをつけM6ボルトにて加圧する。
推奨トルクは80kgf/cm(7.8N・m)以下
もちろんステム固定作業もここで行うので、やり方やトルクは使用ステムの方法に準拠。
セオリー的にステム仮留め後、トップキャップボルト→コラムクランプボルトの順で本締め。

これで作業完了なので「バイク落とし」を行い最終ガタガタチェック。
なおキャップはFocusの(マーク付き)ではなく、家に転がっていた純正より平べったいアルミ製を着けた。

【最後に】

Kuwaharaさんの製品付属取説は、「簡素で判りにくい」など巷(特に近年のネット上での話)では不評のようだけど実際には違う。
正直、すり切れそうな薄いコピー状態だったり、用語など「難関」な部分や誤記誤植と思われる箇所もある。ただ内容は簡素ながらも必要情報は得られるしイラストも多様され全体的に見易く説明文も丁寧。
そして本書はエンドユーザー向けではなく、プロが読む技術書だということをお忘れなく。

しかしながら製品を眺め構造を理解することと「何故アンカーが必要か」など基本知識は取り扱う人にないといけない。
本部品に限った話ではないが、自転車の部品は一つでも間違った装着、使用方法をすると「ライダーの生命」に直結してしまう。
今回作業したカーボンコラムの場合、アルミやスティールに比べ扱いがよりシビアである事は確かなので(もちろん非カーボンだからイージーで良いという意味ではない)慎重に作業を進めなくてならないことをここに記し結びとしたい。

 

《完》

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